為替リスクをヘッジする外国為替投資とは
ポートフォリオを構築する上で見落としがちなのが為替リスク。
為替リスクをヘッジするには複数の通貨を保有すれば良いのだが、どのような通貨が存在し、そこにはどのようなリスクが潜んでいるのか。
今回はFXとして馴染み深い外国為替について必要な知識を書き溜めて行く。
外国為替市場とは
実は外国為替市場というものは存在しない。
証券取引所のような中央集権型の場は存在しないと言った方が正しいかもしれない。
では、外国為替市場の正体とは何なのか。
それに答えるには次の2つの市場を理解する必要がある。
- インターバンク市場
銀行や為替ブローカーなどの金融機関同士が為替を取引する市場 - 対顧客市場
一般企業や個人などがアクセスして為替を取引する市場
つまり、一般的な個人が思い描く外国為替市場とは対顧客市場のことを指す。
対顧客市場で個人は、仲介となる銀行やFXブローカーの口座を通じて外国為替を売買することになる。
外貨投資とは
外貨に投資するということは、価格変動によるキャピタルゲインと利息によるインカムゲインから収益を上げるということだ。
メジャーな通貨は比較的安定的な価格推移を見せるが金利が低く、マイナーな通貨はその逆である場合が多い。
成長性があるものではないので、あくまでもポートフォリオのリスクヘッジ資産としての活用をお勧めする。
ポジションを構築する
外国為替のポジションを構築するには以下の2つの方法がある。
- 両替して保有する
- 通貨ペアを売買する
為替リスクをヘッジする最も簡単な方法は、手元の通貨を両替して保有することだ。
もちろん、紙幣を金庫に保有する必要などなく、マルチカレンシー対応の銀行や証券口座、FXブローカーを利用すれば、任意の通貨を現金として保有できる。
完全に両替してしまうことに抵抗があるのであれば、通貨ペアのポジションを構築すれば良い。
日本円や米ドル、ユーロなどに加え、マイナーな通貨など、無数にある組み合わせから任意のポジションをロング、または、ショートすれば同じことだ。
両替よりも柔軟にポジションを取ることができるが、レバレッジがかかる可能性があるので注意が必要だと言えるだろう。
為替の変動要因
外国為替市場では通貨ペアのチャートが常に上下している。
具体的には次のような要因がある。
- 金利差
金利が高くなった通貨が下がり、金利が低くなった通貨が上がる傾向がある - 物価変動
インフレが進行している通貨が下がり、デフレが進行している通貨が上がる傾向にある - 景気動向
景気が強い国の通貨が上がり、景気が弱い国の通貨が下がる傾向にある - 政治的要因
政府の発表や政治家の発言などが為替に影響を与えることがある - 地理的要因
戦争や災害などが為替に影響を与えることがある
政策金利一覧
政策金利とは中央銀行が市中銀行に貸し付ける際の金利であり、各国の中央銀行はこの値を上下することで市場をコントロールしている。
外貨投資では、これに準ずるスワップポイント(利息)を日間ベースで得ることができる。(実際の値、支払日などはブローカー毎に異なる)
以下は、各国政府が定める政策金利。
主要な通貨
米ドル
石油取引をはじめとする貿易で用いられる基軸通貨。
世界中で流通しているため、常に強い需要が存在する。
ユーロ
欧州連合の統一通貨であり、欧州19カ国で流通する。
欧州中央銀行が政策決定を行うが、各国の財政状況などにも左右される。
日本円
世界一安全な通貨と呼ばれるほど信任が高い。
デフレ傾向にあることなども相まって有事の際には買われる傾向がある。
その他メジャーな通貨
ポンド、オーストラリアドル、カナダドル、スイスフラン。
その他マイナーな通貨
ルーブル、シンガポールドル、トルコリラ、ニュージーランドドル、韓国ウォン、中国元、メキシコペソ、南アフリカランド、インドルピー等。
最後に
為替リスクをヘッジするためには、2から3種類の通貨を保有すると良いだろう。
スワップポイント狙いでなければ、米ドル、日本円、ユーロなどの安全性の高い通貨を保有していれば十分だ。