金融ガチ勉勢が長期投資の全てを教える
今から資産形成を始めたいと思う人に向けて、長期投資全般の知識をここにまとめる。
長期投資とは
長期投資とは、長期的に金融資産を保有して利益を上げる投資手法である。
一般的に投機より確実性が高いと言われており、先の人生を見据えた資産形成に用いられることが多い。
投機:短期的な価格変動で利益を上げる行為
ポートフォリオ
長期投資を行う上でリスク管理は最重要事項だ。
アメリカにはDon’t put all your eggs in one basket(すべての卵を一つのカゴに盛るな)という格言がある。
つまり、ひとつの資産に全てをかけるのはリスクが高い。
長期投資における投資家の最大の仕事はポートフォリオを組んでリスクを分散することだ。
ポートフォリオ:金融商品の組み合わせのこと
投資に纏わるリスク
投資にリスクはつきものだ。
具体的には以下のようなリスクがある。
- 価格変動リスク:資産価格の変動
- 為替変動リスク:為替レートの変動
- 金利変動リスク:金利の変動
- 信用リスク:デフォルトの可能性
- 流動性リスク:不利な価格での換金となる可能性
- カントリーリスク:地政学的な危機
長期投資ではこれらのリスクに耐え得るポートフォリオを組み、管理することが必要になってくる。
資産クラス
投資対象となる資産クラスは以下のようなものがある。
- 株式
- 債券
- 不動産
- コモディティ(金や石油)
- 為替
- 仮想通貨
実際にはこれにETFや投資信託のファンド型商品、保険なども投資対象となる。
ポートフォリオの構成
投資スタイルによって構成は変わってくるが、株式を軸に考えることが良いだろう。
どのスタイルが優れているかではなく、どのスタイルが自身に最適かを探る必要がある。
あくまでもひとつの目安としてモデルパターンを載せておく。
最大限のリスクを取りたい場合
- 株式100%
最低限のリスクヘッジをしたい場合
- 株式50%
- 国債50%
ディフェンシブな投資を行いたい場合
- 株式40%
- 国債60%
より大きな分散効果を得たい場合
- 株式40%
- 国債40%
- 不動産10%
- 仮想通貨5%
- コモディティ5%
個別株の分散
個別株を選定してポートフォリオに組み込む場合は、その銘柄を分散させる必要がある。
分散する銘柄数は、8から20程度が効果的だと言われることもある。
どちらにせよ、過度な分散を行うのであれば、市場平均のパフォーマンスに近づくことになる。
業績の良い銘柄を意図して選びたいならば、上記の数字に止めると良いだろう。
ポートフォリオのメンテナンス
ポートフォリオを放っておけば、バランスが変わってしまう。
例えば、株式と債券が半々のポートフォリオを考える。
株式の資産価値が上昇し、株式と債権の比率が7対3や8対2などのアンバランスな状態になった場合、株式を売却して債権を買い増すことでポートフォリオを意図したバランスに戻さなければならない。
この作業をリバランスという。
取引手数料や税金などがかさみ、パフォーマンス低下につながる可能性があるので半年に1回程度の調整が効果的だと言われている。
リターンとボラティリティ
ポートフォリオの良し悪しを計る上で、簡易的には以下の指標を用いると良い。
- リターン:ある一定期間における資産の成長
- ボラティリティ:資産価値変動の激しさ
理想はリターンが高く、ボラティリティが低いポートフォリオだ。
理想的なポートフォリオはドローダウンが少なく、右肩上がりで資産価値が増加していく。
反対にダメなポートフォリオはドローダウンが大きく、リターンが小さいものだ。
もちろん、ドローダウンがないポートフォリオを構築することは不可能だが、リターンとボラティリティのバランスを取るべきである。
ドローダウン:ポートフォリオにおける資産価値の下げ幅のこと
相関係数
相関係数とはある一定期間における2つの資産の値動きの関連性を表す統計値だ。
この係数は-1から1の間で表される。
- 1に近いほど同じ値動きをする傾向がある
- -1に近いほど逆の値動きをする傾向がある
- 0に近いほど関係ない値動きをする傾向がある
例えば、米国株と米国債は逆の動きをすることが多い。
その相関係数は特に株式市場が暴落する場面で大きくマイナスに振れている。
別の例として、通信会社のAT&TとVerizon。
これらの企業は同じ業界で同じようなサービスを提供しているので株価が同調することが多い。
その相関関係はプラスであることがほとんどだ。
ポートフォリオを運用する上で相関係数が低くなる資産ペアを組み込むと良いだろう。
その理由はどちらか一方の資産価値が暴落した際に、もう一方がそれを補う動きをするからだ。
多くの投資家が米国株と米国債をポートフォリオの軸とするのもこれが理由だと言えるだろう。
資産購入のタイミング
資産を購入するタイミングには2つのアプローチがある。
- ドルコスト平均法
- 暴落時に買う
ドルコスト平均法
ドルコスト平均法は、いわゆる積立投資だ。
ある一定のタイミングで継続して資産を購入し続ける。
そうすることで購入時期によるリターンの歪みを平準化する。
これは時間軸のリスク分散とも言える。
高値で資産を一括購入するリスクを回避することがメリットだ。
デメリットは安値でも資産を一括購入することができない点だ。
暴落時に買う
例えば、株式市場には明確に暴落するタイミングがある。
過去にはリーマンショックやチャイナショック、コロナショックなどがあった。
こういったタイミングでは、圧倒的に有利な価格で資産を購入することができる。
ただし、底値は誰にもわからないので含み損が大きくなるリスクもある。
これは時間的リスクを平準化せずに、資産購入のタイミングを集中させる代償だ。